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第18話 階段から突き落とす。

 晋太郎の視線を追うと、静恵も顔を上げた。

 紀美子の姿を見た瞬間、彼女の目に一瞬の険しい光が走った。

 しかし次の瞬間には、彼女は笑顔で立ち上がり、「入江さん、来てくれたのね、どうぞ座って」と言った。

 まるで紀美子がこの家の客であるかのような口調だった。

 紀美子は静恵の小細工を見抜いていたが、気にせず、二人の向かいに座って食事を始めた。

 静恵は困ったように晋太郎を見た。「晋太郎さん、私がいると入江さんは気に入らないのかしら?」

 「彼女のことなんて気にするな。」晋太郎は静恵を引き寄せて座らせた。

 静恵は大人しくうなずき、気もそぞろに数口食べた後、「入江さん、先日のことはあなたを責めていないわ。私が足元をしっかりしていなかっただけ」と言った。

 彼女の目は赤くなり、「だから私に怒らないでね」と続けた。

 静恵の言葉は、目の前の肉と同じように紀美子にとって吐き気がするだけだった。

 吐き気を抑えなければ、今にも吐き出しそうだった。

 紀美子は彼女を見上げて、「私はある人のように器が小さくない。」と言った。

 この言葉に、静恵は箸を強く握り締めた。

 しかし、演技の天才である彼女は、その怒りを可憐な姿に変えた。「い、いえ、入江さん、そんなつもりじゃなかったんです。

 ただ、これからもお互い晋太郎さんのそばにいるので、早めに誤解を解いたほうがいいと思って……」

 静恵がそう言い終えると、涙をポロポロとこぼした。

 彼女は唇を震わせ、頭を下げて嗚咽した。「晋太郎さん、ごめんなさい。食事の時間を邪魔してしまって……ごめんなさい……」

 晋太郎の眉間には不機嫌な影が差したが、それでも優しくて慰めた。「理屈ばかり言って素っ気ない相手と話しても、君がもっと辛くなるだけだよ。いい子だから、食事をしよう。」

 晋太郎の擁護を聞いて、紀美子の心は酸っぱい痛みを感じた。

 彼の目には、またしても彼女が厳しい人間に映っているのだろう。

 一方、静恵は優しく寛大で、控えめに全てを受け入れる女だ。

その瞬間、紀美子は口の中の食べ物がまるで砂のように味気なく感じた。

食事の後、

晋太郎は用事で別荘を出た。

紀美子は松沢に果物を剥いてもらおうとキッチンに向かった。

立ち上がった途端、静恵の冷笑が聞こえてきた。「自分の家が貧しいから、晋太郎さん
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